ちょっと顔色がすぐれなかったり、会話がはずまなかったりするだけで、
(い、いったいなにがあったんですか姫!)
と、マンガだったらこめかみにしずくがたらり。
たまーに熱を出したり、おなかをこわしたりした日には、顔面に縦線が走って蒼白になる。
でもまあ、全体的にはひじょうにすこやかでほがらかで、社交的なはたらきもので、周囲への慈愛にあふれている。
わたしふぜいは、姫のやることには全面的に大賛成で、「おっしゃるとおり。さすがです!」とかしこまってばかり。
「ママはわたしのことが好きすぎるよ~」
と姫はころころと笑うけど、いや、笑いごとでもないのよ。
今回の人生はイマイチ、次に生まれ変わったらこんな女になりたいわ、と思う理想を、
そっくりそのまま姫が体現しているから、生まれ変わらなくてすみそうだもの。
おかげで、今生を好きなことをして過ごせるというものです。
朝、起きたら、リビングのホワイトボードに、姫からのメッセージが書いてあった。
【おかずをたくさん作って、冷凍庫に小分けしてあります。ママもどんどん食べてね!】
忙しくてなにも教えてやれなかったのに、女の子はなんだろう、すごいものだね。
早朝からお弁当を持って、大学へ行ったのかバイトに行ったのかわからないけど、
一日、たのしいことや笑顔がいっぱいで、永遠のしあわせへと続きますように。
心のあたたかい人と、すてきな家庭を作ってちょうだい。
(どれどれ、おかずはなにかな…)
今日も姫の姫ごころにひざまづくこのよろこび。
