男性が性的に興奮したときや、生理サイクルとして射精が必要になったとき、男性器は膨張して大きくなります。
この状態を「勃起」と言いますね。
英語では「エレクション」と言うことを、ちょっと覚えていてください。
やわらかく小さなものが大きく硬くなるのは、男性器の中にあるスポンジ状の海綿体組織に、大量の血液が集まるためです。
図解で見てみましょう。
男性器の海綿体組織(平常時)
少々アバウトですが、この図8のピンク色部分が、男性器の中に隠れている海綿体組織です。
詳細には、海綿体も三体がくっついているのですが、そこまで確認してみたい方は、あとで医学サイトを見てくださいね。
さて、男性器もふだんは当然、ふにゃりとしたやわらかな状態です。
海綿体は、スポンジ状の組織ですので、そそり立つほど硬く勃起するには、大量の血液が充満する必要があります。
そこに血液が送り込まれて充血すると、次の図のようになります。
男性器の海綿体組織(勃起時)
このように勃起するから(エレクション)、せまい膣内にも挿入できるわけですね。
また、男性は射精の生理、もしくは性的快楽を得る目的で、この海綿体組織への摩擦を、わりと日常的に行います。
オナニーにしてもセックスにしても、男性たちが性器摩擦により快楽を得ていることは、あなたが女性であっても、なんとなくわかりますね。
外部からの刺激で海綿体が充血していく過程には、かならず性的な気持ち良さが伴います。
また、男性が勃起し射精に至るには、やはり外部刺激が継続して〈良い情報〉であることが前提になります。
男性が雄々しくたくましくエレクションしていたとしても、それを女性が長い爪でガリガリとひっかきだしたら、おそらくは「ギャー!」と叫んで、エレクションは一気に消滅することでしょう。
性器を刺激しても、感覚中枢に届いたのが〈悪い情報〉だと、気持ち良さをもたらす神経伝達物質(脳内麻薬様物質)は分泌されません。
性中枢にも、「こんな刺激じゃ血液を送れない」「むしろ身の危険」と、即座に中断司令を下されてしまうのですね。
さて、女性の股間にも、男性器と同様に、この海綿体組織があります。
血液が充満して勃起すること、快楽の仕掛け人であること、そして、オーガズムを起こす組織であること、ほぼ男性器と同じしくみです。
それはいったいどこにあるのか見てみましょう。
女性器の海綿体組織(平常時)
Yの字を逆さにしたような、ピンク色のせんたくばさみのようなものが見えますね。
これが女性の海綿体です。
男性海綿体はからだの外に、女性海綿体はからだの中に。
このことをしっかりと頭に入れて、続いて大量の血液が充満し、勃起した女性海綿体を見てみましょう。
女性器の海綿体組織(フェレクション時)
ピンク色のせんたくばさみが、血液でパンパンに膨張していますね。
すでにご存じかもしれませんが、実は女性海綿体というのは、クリトリスです。
男性器海綿体と同じスポンジ状組織で、大きさの男女比率は5:4。
これは、男女の平均体重比とほぼ同じです。
正確には、クリトリス脚部の内側に前庭球(ぜんていきゅう)という海綿体がくっついているのですが、ここではわかりやすいように、ひとまとめにクリトリス海綿体と呼びます。
また、図のように、クリトリス海綿体が充血し膨張した、いわゆる勃起状態を、わたしは独自に「フェレクション」と名づけて明確化(可視化)しました。
※便宜上(べんぎじょう)であり、医学用語ではありません。
つまり、前回、陰部神経の働きを学んでもらったように、男女が性的快楽を感じる条件は、実はほぼ同じなのですが、決定的なちがいは、
海綿体がからだの外側にある男性とちがい、女性のクリトリス海綿体はからだの内側にあるために、ダイレクトな摩擦刺激を送れないこと。
女性がめくるめくオーガズムを獲得し、オキシトシンが導く神秘体験をするには、男性がこのクリトリス海綿体を順調に充血させて、フェレクションを起せるかどうかにかかっているのです。
男子と女子の快楽システムって、そんなにちがわないよー。
海綿体が目に見えるか見えないか、
どんな脳内麻薬が出てきやすいか。
おおまかなちがいはこのふたつだけ。
気持ちよさを感じる生殖器官はどちらも海綿体だよー。
