ここまで、かなりかいつまんでダッシュで説明しましたが、女体の快楽メカニズムのイメージをつかめましたか?
女性に甘い性の快楽を味わわせたいと願う男性に、意識してもらいたいことは、
・オキシト感でしっかりと快楽の土台を作ること
・クリトリス海綿体を充血させてフェレクションを起こすこと
この2点です。
多くの男性が誤解しがちなのは、男性器を挿入された膣自体や突き当りが、自分の海綿体のような快感受信組織(かいかんじゅしんそしき)なのだろうと思ってしまうこと。
この誤解こそが、Gスポットやポルチオを性急にいじったり、激しいピストン運動をしなければといった、がんばっても女性を感じさせられない最大原因になっています。
膣が、指や男性器によるピストン摩擦だけでイケるような、純然たる快感受信器官であるなら、たしかに、セックスだけをしたがる女性はバンバン増えると思います。
それも、アダルト情報そのままの巨根や精力絶倫な男性ばかりに、集中して群がるでしょう。
ですが、フィクションではない、現実の女性たちは、そうではありませんね。
膣はたしかに男性器を受け入れる性器ですが、それ以上に、侵入してきた細菌や精子を死滅させたり追い返したりといった、より良い受精のための機能が主です。
子宮もそうですし、子宮頚部(ポルチオ)もそうです。
妊娠、出産は、女性にとって命にかかわるくらいの大事業ですから、むしろまじめに任務を遂行(すいこう)する機能しか、備えていないのです。
膣や子宮が敏感な神経に支配されていたら、とてもあのお産の痛みに耐えることなどできません。
真実をお伝えすればするほど、快楽から遠ざかってしまいそうなのですが……。
もちろん、ご心配なく。
ちゃんと味方もついています。
超敏感な快感受動体としての、クリトリス海綿体です。
あなたの味方であると同時に、審査員のような存在で、こんなに見えないところに隠れているけれども、それでも充血させてくれて、継続した〈良い情報〉を届けてくれたヒーローだけに、女性をめくるめくオーガズムに到達させたという名誉を授けます。
女に生まれて、本当によかった…!
生きていてよかった…!
この人に出逢えてよかった…!
おおげさに感じるかもしれませんが、女性は言葉にできない悦びを感じます。
相手の男性も、大きな感動と喜び、そして、男としての自信に満ちあふれることでしょう。
最近は、「中イキ」「膣イキ」と呼ばれる絶頂体験をしたがる女性が増えていることもあり、ポルチオ開発に興味のある人も多いようです。
ポルチオこと子宮頸部は、子宮の門番と言われる重要器官です。
細菌を入れないよう、子宮を守る役割もあるので、子宮頸ガンが増えている今、とくに妊娠前の女性のポルチオを過剰にいじること、いじられることは、どうかしないでください。
ネットなどで、迷走神経(めいそうしんけい)につながっているからという理由で、ポルチオ開発を推奨する人も見かけますが、迷走神経は脳からはみ出た脳神経で、腹部までしか届いていません。
世界の解剖学会で認可されていないわけですから、今はまだ、どこをどういじるといったことよりも、総合的な結果で稼働するととらえるべきでしょう。
なぜなら、あなたがそうであるように、性の快楽は、やはり信頼関係や心の通い合いのほうが優先されるからです。
「そんなきれいごとはもうたくさん。からだと心は別」
そう反発を感じる女性もいるかもしれませんが、では心ってなに?と突きつめてみると、心を作りだすのは脳であり、皮膚であり、内臓です。
つまり、心は肉体の一部です。
人のからだは独立したメカを組み合わせたものではないのです。
単独で機能する臓器や器官はひとつもないのに、セックスやオーガズムを股間だけで得ようとすること自体に、無理があります。
心とからだを切り離す努力よりも、一体化させる努力をした方が、楽で、自然で、心地いいものですよ。
欧米でも、セックスにおいて女性の快楽は後回しの時代が、ようやく終わりつつあるところ。
おたがいに、心とからだに無理難題を押し付けないようにしてあげてくださいね。
ポルチオは、クリトリス海綿体のような快感受信組織ではないことを冷静に受け入れて、まずはあせりや劣等感、過剰な期待をなくしていきましょう。
元々、ポルチオ・オーガズムは、出産経験があって閉経した熟年女性の性体験の中でしか語られなかったものでした。
女性の脳は、出産により、オキシトシンが多く分泌しやすいよう作り変えられていきます。
まだ性経験の浅いあなたなら、いつかたどり着けるすてきな夢だと思いながら、ちゃんとからだを守り守られることから始めましょう。
やさしく抱いて抱かれる、オキシトシンラブのときめきや感動から始めましょう。
そこを起点にすれば、一生をかけて、陰世界は限りなくふくらんでいきます。
そのためにも、セックスが心地よいものでなければ、続きません。
やさしさも、愛情も、癒しもなければ、生涯のどこか途中で「もういい。やめよう」「アホくさい」と、セックスしたくなくなってしまいます。
それがすなわち、現代のセックスレス社会の根本原因ではないでしょうか。
この「女性の性感メカニズムの章」の初めに、この式をお見せしたのを覚えていますか?
筋肉 < 神経 < 気持ち |
陰世界でいえば、筋肉よりも神経よりも、性の快楽にもっとも影響を及ぼすのが、<気持ち>だということです。
それは、わたしたちが人であることの証でもある、ごく人間的で人道的な、希望にあふれる事実ではないでしょうか。
愛しあうふたりのエッチが最高なのは、
いつの時代も変わらないよー。
んで、エッチの価値を知り、
一回一回をだいじにするふたりの愛は、
大きくすくすく育つ。
いきなり億万長者にはなれないように、
地道にコツコツ高みをめざそー!
