セックスという言葉に、あなたはどんな印象を持つでしょうか。
どこか下品で汚らわしいような嫌悪感がしたり。
興味がなくはないけれど、なぜか後ろめたい気持ちにかられる。
あるいは、仕事や日常生活で忙しく、めんどうだし、どうでもいい。
女性なら、そんなネガティブな思いがよぎるかもしれません。
男性なら、胸がわくわくして元気がみなぎり、今すぐでもやる気満々になるかもしれませんね。
どちらにしても、ある事実に気づいてもらいたいと思います。
性やセックスに対するそれらの印象は、とりあえずは実体のない、カスミや雲みたいなものです。
見聞きしてきた性情報や、友だちの話、親の教え、ときには性体験も混じった、あなたの頭の中で作りあげたセックスという〈雲〉です。
ふわふわとして、上に乗ったら最高に気持ち良さそうなもの?
孫悟空のきんと雲や、アラジンの魔法のじゅうたんのように、すてきな未知の世界へ連れていってくれそうかもしれない。
反対に、いつも頭上にどんよりと重く広がるうっとおしいものか。
悲しみの雨を降らし続けて、心の元気を奪い取る、消し去りたいものかもしれない。
なんであれ、イメージする雲の状態を、あなたの持つセックス観といいます。
セックス観の多くは、人の話も含めた、過去の記憶の寄せ集めです。
記憶の寄せ集めである以上、セックス観が人によって違ってくるのは、当然ですね。
性は人それぞれで、セックスの嗜好、求める愛の形や性の快楽も人それぞれという多様性は、この実体のない雲が、人の数だけあるということ。
それが良い悪いはさておき、基本的にはセックスは他人とする行為。
これもわかりますよね。
セックス観を持っていることで、自分にぴったりの恋人にめぐりあうこと自体が、がぜんハードルの高いものになります。
「セックスってこうだと思っていたのに、ぜんぜん違う」
「男性(女性)にはこうあってほしいのに、この人は違う。もの足りない」
「セックスするまでは魅力的だったけど、したらつまらなかった」
「相手がわかってくれない」
「相手がわからない」
つまづきとは、こうした違和感や失望感です。
つまづけば痛いですし、つまづいた原因を知らなければ、二度、三度とつまづきやすくなります。
男女のセックス観は、からだのしくみが違う以上、根本的に食い違って当然です。
そのために、ウキウキと飛び乗ったはずの雲から、ズドンと地上に落っこちたり。
雨雲の上の青空など、一切想像できなくなってしまったり。
しょっちゅう変わる相手の雲の形に、必死に合わせようとして、くたびれてしまう。
こうした悲劇が、性の世界には絶え間なく起きてしまっています。
悲劇や悲しみ、悩みは、実はこの言葉に言い換えが可能――知識不足です。
そう。
多くの人が性に迷う最大の理由は、心とからだの基礎知識を学ぶ機会がないこと。
こうすればこうなるというルールは、法則ともいい、愛・セックス・快楽にもそれはあります。
心の持ちようは大切ですが、今言ったように、心はつかみどころがない上、移ろいやすく、人それぞれに違ってきます。
そういう心や感情ばかりが先立つと、本当にからだが必要としている性の悦びから、遠ざかってしまいます。
心とからだの法則に合った、性世界。
そこは、宇宙のように広々として、とてもすばらしい、感覚の世界です。
無数の星々のように快楽が散らばっていたり、いつでも新鮮な驚きや、感動にも出会えます。
もちろん、安全に飛びまわるためのコツや注意も必要です。
本物の、空に浮かんでいる雲なら、その成分は水蒸気だと、あなたも知っていますよね。
セックスという雲も、どんなイメージをかきたてるかどうかに関わらず、
現実にはちゃんと成分があります。
正当な役割もあります。
その成分や役割を知ることで、愛や性、セックスへの夢やロマンがこわれてしまうわけではありません。
あやふやな雲を突き抜け、青空も突き抜けて、広い宇宙へ自由に旅立てるかもしれないのです。
それも、あなたの知性や、知的好奇心しだいです。
わたし自身は、きっとあなたが実践で役立ててくれるだろうという希望の元に、セックスというつかみどころのない雲の成分を、これからひもといていきますね。
官能的でもなければ、色気もありませんが、めざしてもらいたいのは、すばらしい性の快楽を味わうこと。
それによって、あなたとあなたの大切な人の、心とからだをすこやかに守り、愛と幸せでいっぱいに満たしてあげられると思っています。
思考がふくらみすぎると、ボクは君の脳内で仕事できないんだよねー。
愛のホルモン出せないの。
夢やロマンも悪かないけど、まじめな性知識も役に立つよ。
さあ一緒に学ぼう。レッツゴー♪
