性欲は本能。
この言葉をあちこちでよく見聞きしますが、そこに愛や幸福という概念が含まれているケースは、まずありません。
これは、より男性的な快楽欲を意味するだけの、性における罪な誤報のひとつです。
本来、本能とは、満たさないと生きていけない、生きるために欠かせない生物的な営みをいいます。
たしかに、食欲と睡眠欲は、満たさないと生きていくことはできませんね。
けれど、仮に性欲が快楽への欲だけを指すとしたなら、どうしても満たさなくてはならないものではないのです。
男女ともに、性の快楽を得なくても、生きていくことはできます。
ところが、人は、ひとりきりで生きていくことは絶対にできません。
とてもじゃないけど自立した生命活動ができない、未熟な状態で生まれてしまいますし、成人してからも、コミュニティから外れることは、死に直結します。
人は、人といて、はじめて生きられる。
だれかがそばにいる安心感は、生命維持の安心感でもあるのです。
人ひとりが生きるための本能としては、こちらのほうがはるかに強力です。
だからこそ、あなたも社会に属し、家族に寄り添い、友人を作り。
より居心地のいい関係を作ろうと、日々努力していることでしょう。
その努力は、人からの共感や共鳴で報われます。
もっとだれかに深く理解してもらい、強い安心感に包まれたい。
自分の存在でだれかを癒し、安心させてあげたい。
そう無意識に感じているのではないでしょうか。
性はその延長線上にある、身も心もひとつになりたいという合一願望。
それは、まるで結晶のように純粋な生命の願いです。
男女どちらも、これっぽっちも恥じたり、後ろめたく思うことではありませんよね。
人は、自分にはない部分に惹きつけられます。
電極のプラスとマイナスにもある、陰陽の法則です。
男性は陽で、女性は陰です。
それぞれに正反対の性質を持ち、そのために惹かれあい、恋に落ちて、世界でただひとつの愛を育もうとします。
いつもなにかを追いかけているかのような、男性のまっすぐな気性に比べて、女性は柔軟で対応性に富んだ性質を備えています。
女性の心やさしいふるまいや笑顔が、知らず知らずに恋人や夫、同僚男性の心の落ちこみを救い、前向きな気力を奮い立たせていることも多いでしょう。
男性にとって、女性の笑顔ややさしさに大きな価値を感じるように、女性の心の充足と安定にも、陽である男性の力が重要なのですね。
では、女性のからだにとって、男性のからだのもっともうれしい要素は、何だと思いますか?
男性器、といってあげたいところですが、残念ながら、それは双方がかなりの性的成長を遂げてからの話。
たくましい筋肉?
近いですが、男性の豊かな筋肉に、多くの女性が魅力を感じるのも、もうひとつ先の理由があります。
答えは、体温です。
男性のからだは筋肉量が多く、基礎代謝も女性より高いですね。
このことは、愛・セックス・快楽の法則で、深い意味と意義を持っています。
基礎体温をつけたことがある女性なら知っていると思いますが、女性の体温は変動が大きく、周期によって不安定です。
もちろん、筋肉量の少なさで冷え症気味です。
体温の上下動は、血液循環や神経活動に影響することから、心も揺れ動いてアップダウンします。
楽しかったと思えば、落ち込む。
満たされたかと思えば、いわれのない孤独感や、肌さみしさに襲われる。
そんなときに、男性の熱い肌のぬくもりに包まれると、女性の心はするすると癒され、からだもホッと息を吹き返します。
男性は陽。
火にたとえられます。
女性は陰。
水にたとえられます。
水をあたためるには、火が必要ですね。
パッと燃えあがる火と違い、あたたまるまで時間もかかりますが、一度あたたまったらさめにくいのも、水の特徴。
不安定な心とからだをあたためてくれる男性を、長くじっくり愛して、笑顔で癒すことができる性なのです。
何か特別な努力をしなくても、男女は異なるからだの作りでおたがいを支えあい、愛を生み出せるようにできています。
そこへ向かおうとするのが、性的欲求です。
男子は火で女子は水。
ゆっくり時間をかけて、
体温と愛のとりかえっこをするのが
胸キュンエッチの基本だよ。
エッチしても、もらった感じがしなかったら、
まずはセックス観をリセットしとこう。
セックス陰陽法則の章 まとめ
◎社会生活は陽、性生活は陰。両方のバランスを取ることが、心とからだにとって必要だよ!
◎男子は陽=火、女子は陰=水。女子の心とからだは不安定。陽である男子のぬくもりでじっくりあたためてもらうと、満ち足りて安定するよ!
◎食欲、睡眠欲とならぶ三大欲・性欲は、快楽欲ではなく愛への欲だよ!
